白熱灯の明かりの下で家族を考える
■白熱灯の明かりの下で家族を考えるl「お父さんには、お母さんがいるのに……」。かけがえのない母親を失った子供たちを見るにつけ、いつも私が考えたのは、もし、死んだのが家内でなくて、私だったらということだった。私は会社経営者だから、それなりの保険もかけていた。もちろん家内がいずれ働きはじめる必要はあるだろうが、金銭的には何とかやっていくことができたと思う。そのうえ、食事や家事一切のことで、子供たちに不自由をかけることはないだろう。そう考えると、男親なんて、家族にとっては大した位置を占めていないんじゃないかと思えた。男親は、母親なんかよりもずっと軽い存在なんだと。そんな辛い気持ちに追い打ちをかけたのが、家政婦さんと子供たちの確執である。わが家に手伝いに来てくれた家政婦さんは、皆いい人ばかりだったと思うのだが、やはりそこは他人、しかもビジネスである。母親と同じようには、とてもいかない。「あのおばちゃん、タバコ臭いんだもの」とか、「晩ご飯、カップラーメンばっかりだよ」などと子供たちに言われると、腹が立つやら悲しいやら。しかもそれが本当のことなのかどうか、現場にいない私には計りかねるところがあった。それとなく家政婦さんに話をしてみると、いきなり次の日から出てこない。
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